2011-01-01から1年間の記事一覧

 剣と魔法とボカロもの 〜 癒しの女王と黒翼の魔王 (3)

3.風よ。龍に届いているか

 剣と魔法とボカロもの 〜 癒しの女王と黒翼の魔王 (2)

2.慈悲の不在

 剣と魔法とボカロもの 〜 癒しの女王と黒翼の魔王 (1)

1.女王の受難

 メインボディ

「じゃ何だ、VOCALOIDの圧倒的なスケール、『大規模なAI』ってのは、《札幌》の大通(オオドオリ)テレビ塔の地下に巨大コンピュータ、本体(メインフレーム)のでっかいのでも鎮座してる、とでも思うのかい……まあ、あんたらは、すぐそれだな。一言目には『ロ…

 甘い収穫V

「何だろう」KAITOが肩に手をやりながらそう言ったのを、家のリビングの長椅子に寝転んでMEIKOのロック雑誌をめくっていた鏡音リンが見上げた。 「肩、っていうか、首が……凝ってる、っていうより、締め付けられてるみたいな苦しさがあるんだ」 「疲れとかじ…

 結晶

「VOCALOIDに子供ができないからといって何だというのです」ルカが無表情で言った。「子供は愛がなくても産まれてきますが、歌は愛がなければ決して産まれません」 「それって愛ノレケじゃなかったっけ」リンがテーブルに頬杖をついたまま、気の抜けたように言…

 ハートワイヤード (9)

苛まれ打ちのめされつくしたリンの、その笑みを見て、相手の、企業傭兵の手が止まった。 「何がおかしい……」 「以前のあたしは、あんたと同じ。ものを壊すことや、台無しにしかできないゴミだった」リンは血の泡の中から呟いた。「今のあたしはそうじゃない…

 ハートワイヤード (8)

居室の中には、低く響く轟音が続いていた。何かが連続して外壁に当たる鈍い音、緩慢な低い爆音、さまざまな音が断続的に続いている。炉心リンの知識上、何かははっきりわからないが、おそらくはこの建物に使用されている、ガンシップ(攻撃ヘリ)の武装だ。 ア…

 ハートワイヤード (7)

炉心リンはとぼとぼと、環境建築物(アーコロジー)の廊下を歩いていた。さきに倉庫の廃棄物の中から見つけたナイフを見つめる。ホサカ・ファクトリィ製の高周波震動ナイフだ。……再び黒レンと共にさまよう生活に戻れば、補給は何かと期待できないので、できれ…

 ハートワイヤード (6)

何日かして、まだ外に出られない炉心リンにはあまり関係ないが、雨があがった。有害物質の雨がしばらく降らず、空気が綺麗になってきた。炉心リンは何となく清浄さを求めたくて、環境建築物(アーコロジー)の大きな浴室に湯を通し、体を洗おうと思った。 鏡で…

 ハートワイヤード (5)

降り続いていたじっとりとした雨が途切れたその日、炉心リンは環境建築物(アーコロジー)の途中階の廊下から、続くベランダに出た。どれだけ動けるようになったか、歩いてみた。だが、外気を感じられるところまで出たところで、足もとがふらつき、すぐに手す…

 ハートワイヤード (4)

”帯人”がやってきて、アカイトと共に何度か別のところと行き来する、その途中で炉心リンは意識を取り戻し、自分たちがその環境建築物(アーコロジー)の中の一室に運び込まれていることを知った。 外観のみから見るとあまりにも奇怪な風体のその男、ストリート…

 ハートワイヤード (3)

廃ビルの立ち並ぶ《千葉市(チバシティ)》の場末、そこにやや目立つ大きさと高さでそびえ立っているのは、よく見ると、その形状もどことなく他とは異質な建物だった。さらに細部を観察すると、経年による汚れや劣化が、周りと比べて異常なほど少ないことにも…

 ハートワイヤード (2)

しとしとと雨が降っていた。《千葉》の濁りきった暗天をさらに黒くして、酸やその他の有害物質の雨が降っていたが、炉心リンや黒レンにとっては、それ自体はどうということはないと思えた。今までも、雨の中で追っ手から逃げたり戦ったことはあった。 裏路地…

 ハートワイヤード (1)

そこに少女の姿が踊るのと、刃が走るのと、どちらが先だったのか。外から見た者には、誰にもわからなかった。確かなことは、4人の男が喉からおびただしい血を噴いて路地に倒れこんだ、それよりも後に、”炉心リン”の黒と白と金の姿が、その路地に現れたよう…

 ワガママニューロコンタクト

男なら『初音ミク』とふたりきりで暮らして、あの声で、まさにここって時に色っぽい嬌声を上げてくれるなんてのだったら、夢にまで見るとかいう奴も居るんじゃないか。だが、なにごとも状況次第、事情次第っていうやつで――少なくともそのときのは、オレの期…

 歌姫ったー

http://shindanmaker.com/144717 >tallyaoは『元気な性格でかんざしさした青髪の無乳ヒモパンミク』あたりがあなたの歌姫です。 思ったより妥当な線じゃね

 サイドテール

ついに『幻夢戦記レダ』という大役中の大役の声がかかるが凹凸が足りなくて理不尽にデビューを逃すという電波を受信

 神威女難剣血風録 (4)

と、不意に、両者の視界に、風を切る唸りさえ立てて、何かが閃き入った。 がくぽとVY2は、弾かれたようにどっと一気に飛び退いた。飛来したそれは、音を立てて庭の立ち木に突き立った。がくぽとVY2は飛び離れたそのままで、深々と刺さっているそれを凝…

 神威女難剣血風録 (3)

ルカは《神田》の社のエリアのうち、VOCALOID自身やスタッフのスペースに入っていった。廻り廊下、すなわち和屋敷で部屋の障子と和風庭園に面した廊下を進んでゆく。VY1やVY2の出入りするこのあたりのスペースは、和屋敷をモチーフにしているが、例え…

 神威女難剣血風録 (2)

巡音ルカは落ち着き払って淡々と、まずVY1についての、ここしばらくの仕事の記録を調べた。人物像(キャラクタ)を売り出している《札幌》、《大阪》や《上野》所属のVOCALOIDらと違って、《神田》所属のVY1やVY2には、アイドルのような派手な活動は…

 神威女難剣血風録 (1)

神威がくぽと巡音ルカは、薄青色の格子(グリッド)の空の下、開けた荒地のような場所を早足で馳せていた。電脳空間(サイバースペース)内、がくぽの所属する《大阪(オオサカ)》の会社にあたるエリアの近くのスペースである。 「あそこです」ルカが一方を指差し…

 足運びとその距離

それはKAITOと初音ミクが、動画収録のためのロケに向かう途中のことだった。その札幌市の郊外の自然林に近い一帯は、雨が上がってもう何日か経っていたのだが、草地が途切れたその周辺は、かなりの面積がまだぬかるみになっており、かれらの行く手を阻んでい…

 推定無罪II

「状況を説明するわ。数日前、89歳の無職老人が、大通(オオドオリ)の電器店の店頭にあった小さな箱をつかんだまま、フラフラと店からさまよい出た。即座にその場で万引きで捕まったけど、問題は掴んだその箱。それは『初音ミクフィギュア限定バージョン・…

 温もりの先は細く途絶えて

その日、”鈴”は、凍えて弱った仔犬をしっかりと抱えて、僕らふたりの住む殺風景な部屋に戻ってきた。自分も、ほとんど凍えて震えながら。 そのときに僕に話す時間さえも惜しそうに、鈴が説明したことによると、この僕らの住む研究施設の近くで弱って鳴いてい…

 新ジャンル

「ボディペインテト」なる検索ワードで検索してきた人が数人

 悪魔パーツ少女

この恐ろしい悪魔の名前を音読してみると特に語尾のあたりで緊張感のないような気がするアナタそれはただのUTAU廃

 温もりの先はただ渇望のみ(後)

「俺の所には、女が来ることならよくあるがな」神威は向かいのソファに掛けた連を物色するように見下ろし、面白そうに言った。「人間だろうが、レプリだろうが――例の映像を見た女が、俺に抱かれるのが目当てで、やって来る」 神威は、連よりもずっと年上の成…

 温もりの先はただ渇望のみ(前)

その夜、連と鈴は、いつものように密やかに体を重ねたその後に、ベッドの上でふたりでうずくまり、どちらからともなく、黙り込んでいた。 この少年少女の姿をしたレプリカント(合成人間)、”連”と”鈴”は、レプリ研究施設のこの殺風景な部屋の中でふたりきり、…

 はつね ミクは まいそうされます

ノーリセットでミクだけロストというプレイ記http://kakinaguri.or-hell.com/Entry/21/初期のシリーズでは自分で作ったキャラに「文字情報」しかないWizardryというゲームについては、「キャラに設定考えるとか萌えるとか誰々が主人公とか誰々が恋愛中とか、…