VY2

 神威女難剣紫雲抄(7)

《神田》のVOCALOIDらの所属する社のスペース、和風の屋敷のような意匠が電脳の構造物(コンストラクト)とまぜあわさった広い邸宅と庭園は、高い塀(これも電脳構造物だが、竹か何かを組んでいるように見える)に取り囲まれている。その塀の上、庭園の中から…

 神威女難剣血風録 (4)

と、不意に、両者の視界に、風を切る唸りさえ立てて、何かが閃き入った。 がくぽとVY2は、弾かれたようにどっと一気に飛び退いた。飛来したそれは、音を立てて庭の立ち木に突き立った。がくぽとVY2は飛び離れたそのままで、深々と刺さっているそれを凝…

 神威女難剣血風録 (3)

ルカは《神田》の社のエリアのうち、VOCALOID自身やスタッフのスペースに入っていった。廻り廊下、すなわち和屋敷で部屋の障子と和風庭園に面した廊下を進んでゆく。VY1やVY2の出入りするこのあたりのスペースは、和屋敷をモチーフにしているが、例え…

 神威女難剣血風録 (1)

神威がくぽと巡音ルカは、薄青色の格子(グリッド)の空の下、開けた荒地のような場所を早足で馳せていた。電脳空間(サイバースペース)内、がくぽの所属する《大阪(オオサカ)》の会社にあたるエリアの近くのスペースである。 「あそこです」ルカが一方を指差し…