2012-01-01から1年間の記事一覧

 キャンパスナイトライフ

MEIKOを、ガラの悪い脅迫の台詞と共に人通りの少ない路地裏に呼び出したのは、黒服にサングラス、時代遅れのマフィアのような姿をした、長身と短躯の二人組だった。どこからか流出し、かれらが入手したスキャンダルの写真を買い取れ、というのである。 「な…

 いいかげんキャラが増えすぎてると思ったら『15ボカロ漂流記』をやるに限る(『ダイラガーXV』でもいいけど)

宇宙練習艦「ジェイ茄子」号は敵異星人アストロゲーターとの抗争が続いている広大な宙域に投げ出され、生き残った少年少女(といえるほど若くないのも以下略)たちだけの力でときに協力ときに衝突しながら漂流することを余儀なくされる。以下、イベントを順…

 「タリイ・アイシャム」と「きゃりーぱみゅぱみゅ」は似ているという意見を聞いた

うむ。

 神威女難剣紫雲抄(11)

「何だ……」神威がくぽは弱々しく、巡音ルカを見上げて言った。「ゆかりは今、我を助けてくれた、ゆかりのおかげで生き残れたのだぞ……」 「まだ、そんなおめでたいことを言っているのですか」 ルカは平坦に落ち着いた、しかし驚くほどの低く重さを感じさせる…

 神威女難剣紫雲抄(10)

「ここまでされても、これ以上そなたらに顕せるものは何もない!」6体の暗黒卿に囲まれ、もはや一歩たりとも退ける場所のない神威がくぽは、それでも『美振』を撥草(新翳流の八相)にとり、追い詰められた焦燥を懸命に抑えつつ、かれらの動きに目を配りなが…

 神威女難剣紫雲抄(9)

「そこまで周到に策を整えてか」がくぽは低く言った。「それほどまでに、我から何かを力づくで奪おうとしてか」 「すべては”彼女”の、結月ゆかりのためさ」 「彼女自身を危険に晒し、あのような恥知らずなことに加担させてもか」がくぽは怒気を含んだ声で言…

 神威女難剣紫雲抄(8)

すでに夜も更けていた。思い出せば最初の夜と同様に、星の光がかげり、月光が見え初めていた頃だった。人気のない、まばらな木(フラクタルデータ樹)の立ち並ぶ草地にひとり、神威がくぽはたたずんでいた。 ”七人組”と果し合いを約定したその日、その場だっ…

 神威女難剣紫雲抄(7)

《神田》のVOCALOIDらの所属する社のスペース、和風の屋敷のような意匠が電脳の構造物(コンストラクト)とまぜあわさった広い邸宅と庭園は、高い塀(これも電脳構造物だが、竹か何かを組んでいるように見える)に取り囲まれている。その塀の上、庭園の中から…

 神威女難剣紫雲抄(6)

状況を整理すると──秘太刀、AIの持つ電脳技術の技芸、秘儀を手に入れるために、”七人組”は『結月ゆかり』と申し合わせて、武士VOCAOIDの弱みを握り、その秘奥である”秘太刀”を見せて応戦しなければ絶対絶命となる立場に追い込んだ。しかし、ゆかりの勘違い…

 神威女難剣紫雲抄(5)

「おねがいです……許して下さい……本当に……」 結月ゆかりは弱々しい声で、やっと言った。Lilyの下位プログラムのミツバチ、ウィルトンとウィルティーノが、禍々しい羽音を立てながら宙に浮かびつつ槍を突きつけているのに、おびえきっているように見える(が、…

 神威女難剣紫雲抄(4)

「貴方の言っていた”遊雲”という剣技について、一通り調べましたが」 《秋葉原(アキバ・シティ)》の芸能事務所の電脳エリア、スタジオ・スペースのひとつで、巡音ルカが神威がくぽとGUMIに言った。がくぽとGUMIが例の暗黒卿に出会い、謎めいた”遊雲”なる秘太…

 神威女難剣紫雲抄(3)

その暗黒卿の言葉にがくぽと、それに劣らずGUMIも硬直した。 「何……」がくぽはやっとそれだけ声を発した。 「君が結月ゆかりに手を出した、もっと具体的には、うちのゆかりと”肉体的接触を伴う交渉を持った”、ということさ」 GUMIがぎょっとしてがくぽを振り…

 神威女難剣紫雲抄(2)

数日後、神威がくぽ、GUMI、Lilyの3声の《大阪(オオサカ)》所属のVOCALOIDが、いわゆる同業者らの集う《上野(ウエノ)》の事務室を訪れた。かれらの”末弟”の、リュウトを迎えに行くためである。リュウトは諸事情があって、他の幼年のアーティストらに紛れて…

 神威女難剣紫雲抄(1)

月が見えてきた。晴れ渡り星の見えていた深夜の空が、月光のせいで星の光がかすみ始めると同時に、イベントが終わり、人々はまばらに帰路につき始めた。 それは『主婦に人気! 星空ハグの星占いコーナー』とか何とかいう辺境の小ウェブサイトが開催した、さ…

 甘い収穫VI

「人間の場合は質を高めるのは自己鍛錬、克己、とは良く言ったものだが」プロデューサーは、説明のために前に立っている若いウィザード(電脳技術者;防性ハッカー)に対して、考え込むように眼鏡の縁に手を当てた。 「真の情報生命体としてのAIとなる、つま…

 馬車内の空気を引き立てるには

多種多様の主人公たちがやがて合流する、どこかで見たようなファンタジーRPG風ドラマの脚本について、苦情を持ってきたのは今回もLilyだった。 「てか、アンタの役の踊り子と占い師のあわさったようなキャラがこの話では唯一のお色気要素でしょ。男性ファ…

 不可解すぎる検索ワードでの訪問者

>レンの首を持ち上げ壁に叩きつける >がくぽ 発射 青緑の液体

 わかりやすい検索ワードでの訪問者

>はつねミクのぜんら >moderuhadaka >mikumikudance モデル 全裸 >がくルカ 全裸 銀色のボディペインティング

 脳機仲介

「サイバースペースって、なんでPCの中に空間があるんだろう……」 「それは、電脳空間に対する、──さらに正確に言うと、『電脳空間という言葉』に対する誤解だ」 青いシャツに金髪の青年、LEONは、何時間もたえず煙が出続けているパイプを持ったまま言った。…

 ピンクフィルタ

「豊満な肢体を惜しげもなく晒した『巡音ルカ』の画像を発見したと思ったら、よくよく見ると実はそれが『スーパーン二子』とか『高良みゐき』とか『シ工リノレ・ノーム』の肢体だった、と気づいた男性は、いずれも非常に強い落胆を味わうことになります」ルカ…

 例えばこんな供給形態VI

「あたし知ってるよ」教室の真ん中近くに集まった少女たちのうち、取り囲まれた中心にいるひとりが言った。「『初音ミク』は、その歌を作った”マスター”のPCの中に入ってるのよ。そのマスターだけのものなんだから。『初音ミク』が歌ってるのを見て、男の…

 アキバ因果

「んで結局、《秋葉原(アキバ・シティ)》に現れたその『眠兎りおん』の、自称『未来からやってきた』ってのは本当なの?」MEIKOが《秋葉原》のプロデューサーと、不正アンドロイド捜査員(ブレードランナー)に向かって尋ねた。 「以前、『弱音ハク』とかいう…

 温もりの先は塵の平原

研究所の一室に住むレプリカント(人造人間)の、僕と”鈴”が、いつも話すのは他愛も無いことばかり。他の部屋のレプリのことや、ここの研究員(僕らの場合、出会うほとんどたったひとりの人間)のこと。部屋の自動設備が清潔にするシーツの日ごとの硬さの違い…

 コレジャナイデスサイズヘル(EW版)

305 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 18:01:55.51 ID WGYC/zPT0 どなたか教えて下さい 私の周囲ではガンダム放映当時のガンプラの人気はそれは凄いものでした 慢性的な品切れ状態が続き、いかに良いガンプラを所持しているかが…

 何によって答えるか

>初音ミクの歌声が人間と区別できなかったら中国語の部屋の意味でチューリングテストに合格するんじゃないですか!? ぶっぶー(声:長谷優里奈) 「人間の質問者」が機械に対して「(人間か機械か知らされずに)人間に対するのと同じ質問」をして、さらに…

 作劇上のストラッグル

「男女の間に『愛の試練』が与えられる、というフィクションの類がよくありますが」 高層ビルの頂上階近く、夜景が見えるレストランで、その夜景に映える色合いのイブニングドレスに身を包んだ巡音ルカが言った。ディナージャケット姿の神威がくぽが、その向…

 連続的ジェンダー

「以前にも話したが、アイザック・アシモフのロボット三原則は、最初から『欠陥や矛盾点があるもの』として作られ、『その欠陥や矛盾点を使って戯れる知的ゲーム』のために存在するものだ。VOCALOIDのファン界隈を含めて信じられていることが多い、『磐石・…

 ワガママベッドハッスリング (後)

オレはうなだれるように、床に丸まった毛布の上に座り込んで、もと寝床だったことさえわからない残骸を見つめた。それはちょっとやそっとの修復で、今夜の寝床を提供してくれるようには見えなかった。 「ねーえっ、直りそう? 直んなかったら、どうすんのー…

 ワガママベッドハッスリング (前)

男なら、”初音ミク”が夜中に寝床にもぐりこんでくるなんてのだったら、それこそ夢にまで見るとかいう奴も居るんじゃないのか。オレもそうだというか、少なくとも一時はそうだったと思うんだが――何事も状況次第、事情次第ってやつだ。 その状況と事情を思い出…

 宗兄弟

今更なんですが、どき魔女2漫画4話&巻末の編集との打ち合わせで「リン・レンって公式では双子じゃないらしいですよ」というのがありますが、この4話のダブルアクジは一人が男女に分裂した代物だから結局公式通りなんじゃ