Cream de Chrome


 MEIKOは”妹”たちの前で、ネット上の数多くのプロデューサー達から送られてきた企画書の束をめくりながら言った。「やっぱ、私とルカで『ダーティーペアのようなもの』は一度はやっておくべきよねえ」
「それはスタートラップのことですか?」ルカが無表情に言った。
 皆が黙り込んだ。
「いや別に何か具体的なものを特定して言ったわけじゃあ」やがてMEIKOが言った。
「スタートラップなどと奇をてらわずに」ルカは続けた。「素直に『KAITO兄さんとミクで亜美ちゃんシリーズ』が、普通に今どきのファンたちにも受けると思うんですが」
「素直……?」ミクが小さく首をかしげた。
「しかし、考えてみれば」ルカが無表情のまま、リンに目を移し、「『亜美ちゃん』ならまた適役は別かもしれませんし」
「てか、ルカが何の話をしてんだかさっぱりわかんないよッ」リンが頭を抱えた。
 MEIKOがひとり呟いた。「ここしばらくのこのブログの妙なノリって、ルカの参入と何か関係あんのかしら……」