さまざまな商品


 オリジンのアニメ化のトレーラーなんかもそうなんですが、漫画の方のオリジンで「シャアとセイラ」の出会う場面を見るごとに非常に鮮烈に思い出す、これもone generationくらい遡る年月の記憶があります。
 学校で休み時間に男子生徒たちが何かものすごく大量のジグゾーパズルを作っていたのですが、いつのまにやら皆で手伝うことに。本当にいろんな絵柄のパズルがあり、どれも何を描いた何のどんな場面なのか、多彩すぎて皆目見当がつかない。自分が手伝っていたのは仮面の男と金髪の女性が向かい合っている絵柄でした。いったい何を描いている絵なのだろう。元絵の油彩の美しさだけが目にしみた記憶が残っている。
 そのパズルが全部、大量の絵がことごとく、初代ガンダムの場面の抜粋だったと気づいたのはずっと後です。目にやきついているあの場面は、無論テキサスコロニーの邂逅です。あの絵もあの絵も、思い出してみると、ガンダムのあの場面に違いありません。
 そういえばある生徒が持っていた眉毛がない男の描かれた変な絵のシールも、何の誰を描いた絵なのか皆目見当がつかず、なぜそんなものを後生大事に持っているか想像もつかなかったのですが、今考えてみるとたぶんワッケイン司令でした(連邦の宇宙服だったのでギレンではないことが辛うじてわかる)。
 初代ガンダムブームの80年前後には、本当にありとあらゆるグッズが身の周りに存在していました。「ガンダム」にまつわるものであれば、登場物体であれ人物であれ場面や画面であれ、あらゆるものが再現され、あらゆるグッズが出ており、あらゆるものを身の周りの少年たちが買いあさり、そして、それらをこちらが目にするあらゆる機会すらあったのです。ガンダム自体の主な対象である少年向きの玩具だけでなく、ありとあらゆる場面に安彦氏の美麗な描きおろしを使ったジグゾーパズルのような、そんな代物まで「商品化できそうなもの」が何もかもあふれており、おまけにそんなものの現物を目の当たりにする機会すらあったのです。
 それは、今のようにガンダムが玩具や映像産業の屋台骨として商法が確立していたり、購買力のある大人ガノタの衝動買い目当ての変なネタグッズが売られるような時代でも、ネット経由の販売が整備された時代でもありません。80年前後の情報と流通の時代にこうだったのですから、初代ガンダムのブームというのは考えれば考えるほどにつくづく恐ろしい代物です