自己中ハーレム


「艦娘に対して、『若い娘が同世代じゃなくこんな提督に恋するしかないなんて狂った状況だから外出して世間を見てこい』と休暇を出すという、色々な意味でまるでオタのエクソダスを促すような創作が話題になっていました」ルカが無表情で言った。
「野暮ね。オタの夢を壊しちゃ駄目よ」MEIKOはけだるげに応じた。「そもそも提督にせよ審神者にせよ、そういう『恋愛対象は自分か同性しか存在しない』とかの夢を見させるための設定でしょ、いかにも」
 MEIKOは楽譜に書き込む手を止めないまま、首をすくめ、
「提督とか審神者とは違って、元々まっとうに考えればそんな設定になんかなるはずがないのに、男VCLDの周りに『マスター』とかいう男しか存在しないとか、その男が自分でえり好みで買った男VCLDしか存在しないだとか、VCLDにはそいつらとイチャつく以外の選択肢にないだとか、自分で自分の都合のいいように設定する手合いもいるわけだし」


「ですが、それしか選択肢がないとも思えません。恋愛対象が自分しか存在しないとかいうハーレムや逆ハーレムだけがアプローチとは限りません」ルカが平坦に言った。「たとえば、モバイル彼女と出会えるとか言いつつ、他の男、不審者や人外が現れ、延々激闘し続けるようなゲームも存在します」
「このブログはどっちかというとそっちだわね」MEIKOが突如、やつれたように言った。