キリシマ(エイユウ)、チョウカイとアタゴ


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 『ヤマト』新旧両作冒頭に登場する、いわゆる「沖田艦」は、旧作の時点では実は艦名はなくあくまで通称「沖田艦」しかありませんでした。ただし、どういうわけか、小説版やゲーム等の複数メディアにおいて「えいゆう」という謎の名前がついており、これが旧設定での艦名、として扱われることがしばしばありました。
 現在の沖田艦の「コンゴウ型キリシマ(BBS-555)」という名は、『2199』で新たに設定された名です(古代艦の「ユキカゼ」が旧作時点からあったのとは異なります)。2199のコンゴウ型宇宙戦艦は公式設定資料集等によると「コンゴウ」「ハルナ」「ヨシノ」「ミョウコウ」「キリシマ」「ヒエイ」「チョウカイ」「フソウ」(それぞれBBS-551〜558)と設定されています(これらは2199本編開始時点ではキリシマ以外は既にすべて戦没)。


 ここで、このうちチョウカイは旧日本軍艦では、戦艦でなく砲艦又は重巡の名ですが、ここでは旧日本軍艦からではなく、戦後の自衛隊の「こんごう」型護衛艦に「ちょうかい」があることから採られているのかもしれない。どのみち、「チョウカイ」のかわりにBBS-557の戦艦は「ヒュウガ」になっていたり、チョウカイは2199の「ムラサメ」型巡洋艦の方の一隻(CAS-236)としている資料(バンダイの模型インスト等)もあり、一定していません。


 さて、ここでユキカゼの時に述べた『松本零士カニクルユニバースシリーズ』の説明書を見ますと、この沖田艦(エイユウ)の同型艦の名に「愛宕」「鳥海」というのもあります。いやこっちにも鳥海があるし、愛宕重巡じゃ?
 こちらのシリーズではあくまで「太陽系連邦軍 旧地球連邦 宇宙防衛連合艦隊 艦隊旗艦」で、戦艦とは書いていません。実のところ、「沖田艦=キリシマ、コンゴウ級という名=戦艦」という設定自体が2199以降ともいえるので、どうもこちらは沖田艦自体が「戦艦」ではなく「巡洋艦」クラスという設定のようです。このシリーズではあくまでヤマトや後のアンドロメダ等が戦艦クラスで、はるかにスケールの小さい沖田艦は戦艦ではない、と設定したのかもしれません。


 2199の設定では「アタゴ(CAS-266)」はムラサメ型巡洋艦で、上記したように「チョウカイ」も同様にムラサメ型とする資料もあります。つまり、旧作と2199、それも資料によって、コンゴウ型とムラサメ型のどっちでもありうるという面白い位置づけにあるのが愛宕と鳥海の2隻というわけです。資料によって一切重なる部分も矛盾もないユキカゼ(イソカゼ型駆逐艦)とはこれは対照的です。