声援


「腹筋と背筋を鍛えなさい。肺活量と滑舌を見直しなさい。後天的に身に着けられる技術は、なんでもかんでも身につけなさい」
 依頼者は、そのMEIKOの言葉にしばらく絶句してから、
「……何かこう、もっと違う言葉はないのか」
「違う言葉って?」
「小中学生にかける言葉なんだよ。ボカロにあこがれて、これから音楽をやりたいって子供たちにさ。だから、こうもっと、あこがれのボカロ本人に言葉をかけてもらえる子供たちに、希望を持たせるような言葉を……」依頼者は自分で言葉をさがすように、「『音楽に対する熱意』とか、『理屈で理解せずに音楽に身をゆだねる』とか、『技術はなくても心を失うな』とか、そういう話とか、できないのか……」
「『技術や理屈を身につける根気』にさえつなげられない程度の、なまぬるい『熱意』だの『心』なんかに、いったい何の意味があるのよ」
 MEIKOは肩をすくめ、
「遊びでやってんの? だったら、遊びと同じように好きなことだけやってなさいよ。でも、もし遊びでやってんじゃないんなら。まずは一番嫌いなこと、次に嫌いなこと、そうやって優先順位をつけて。そして、頭から順番に、すぐに始めなさい」