DHMOII 悪霊の神々

「かつて、あるゲームに登場する『ダガーナイフ』が、犯罪の原因になるおそれ云々を問われると同時に規制されたという話がありますが」ルカが無表情で言った。「その同じゲームのシリーズに、それよりも遥かに恐ろしい、青少年の教育上有害きわまりないアイテムが登場することが、どうやら規制を云々する側の勢力に知られてしまったようです。将来、それらも規制されるのではないかという懸念がネット上に広まっています」
「今回のは何? そのゲームのもっと有害なアイテムってのは」MEIKOが尋ねた。
「『あぶないみずぎ』です」
 沈黙が流れた。
「……まずいことになったわね」ややあって、MEIKOが呟いた。
「ええ。私やMEIKO姉さんの芸風の、およそ75%は『あぶないみずぎ』で構成されていると言っても過言ではありません」ルカが平坦に言った。「それが規制されれば私達の芸能生命には死活問題です」
 MEIKOはまたしばらく考えていたが、そこで、ふと隣を見下ろし、
「――あ、リンは心配ないわ。規制があっても生き残れるわよ」
「知るかヨ。てかあんたらの芸風を構成するもんは他に無いのか」