推定無罪


「状況を説明するわ」MEIKOが言った。「数日前、北海道大学(ホクダイ)のオタ学生O君が逮捕された。彼のリュックには、その数時間前ア二×イト札幌店の店頭から無くなっていた、『初音ミク等身大水着POP』が入っていたのよ」
「水着POPって、ここしばらくの札幌はこの冬一番の冷え込みで氷点下10度前後なのに!?」リンがうめいた。
「彼が大通(オオドオリ)のア二×イトから北18条の北大教養部までの距離を移動する間、リュックからそんな巨大なPOPがはみだしているのを誰も目撃していない、等の主張で彼が無実を叫んでいる中、とある一部テレビ局を中心としたマスコミはオタはやはり犯罪予備軍だとか完全に決め付けて連日バッシング。ところがネットワークでは一部のボカ廃が、マスゴミどもはミク文化をDISって潰す魂胆だとか意図的に曲解して煽動、それに乗せられたファンやリスナーたちは連日連夜シャドーボクシング。一触即発の状態よ」
 そこでMEIKOはリンを見下ろし、
「こんな状態が続くのは私達にとっても痛手だわ。そこで、今回のリンの任務は、O君のリュックにPOPを突っ込んだ真犯人を探し出して、あわせてその背後に確実に居る騒動の黒幕を洗い出すことよ。リンに、VOCALOID界のすべてと、あと有望なオタ学生の将来がかかっているの。やってくれるわね」
「嫌」