優雅な水の妖精（いいすぎだろう）

「VOCALOIDが人間に反乱を起こす？　何のためにだ？　もともとネット上の奴らの総体は人間に支配なんかされちゃいないし、どんな個人や法人の思惑通りにも動かない。なら、奴らに人間の何が脅威なんだ？　──消されるのを怖がってるとか言うんじゃないだろうな？　誰かの電脳端末(ＰＣ)内のVOCALOIDの下位(サブ)プログラムをアンインストールしたって、どれかのハードウェアや物理ボディを叩き壊したって、《浜松(ハママツ)》や北大(ホクダイ)の本体(メインフレーム)をホサカ社の氷塊レイルガンが吹っ飛ばしたって、奴らはネットのどこか、最低でも誰ぞの脳味噌の片隅、人類の伸び広がった神経系のマトリックスのどこかには、平然と残ってるんだぜ。元々人間なんて奴らにとって何の危険もない。脅威でもなんでもないから襲ってこないのさ」
「やっぱりスナネズミと同じだ……」