おまわりさん奮闘


 「サイバー」の代表として何度も映像化される攻殻1ですが、映像といえばいきなり話が変わりますが大昔、北欧の手作りアニメコンテストのTV番組があり、北欧の小学生が手書き(パラパラ)アニメを作る過程が放映されていました。この番組が取材していた金髪ショタ美少年が考えたストーリーが、


(1)3人のおまわりさんが街を見回っていました
(2)1人目のおまわりさんが鮫に食べられてしまいました
(3)2人目のおまわりさんが鮫に食べられてしまいました
(4)3人目のおまわりさんが鮫の腹を裂いて2人を助け出しました


 なんか三匹の子豚とか七匹の子山羊が混ざったような話ですが、それが公的制度の充実した北欧における金髪ショタの目から、公僕の奮闘=おまわりさんの話、に変わっていることに着目。なお、このショタ小学生の作ったおまわりさんアニメが、後から出てきた大人の作ったコンテスト作品よりも絵柄・ストーリーともに抜群に面白かったね。
 さて攻殻1ですが、基本的にこの「おまわりさんの話」です。前回話したような、80年代電脳物の典型ではないのですね。エピソードによっては、特に攻殻2原作では巨大企業も出てきて身動きの充分とれない巨大企業内で立場を濫用して利己の限りを尽くす腐れド外道といったホサカ・ファクトリイめいた描写も出てきますが、ここでも企業はあくまで上記の「鮫」であって、「舞台そのもの」ではない。90年代に読書家らから「士郎はサイバーではない」としきりに主張された所以です。もちろん、00年代以降はこういった主張は無意味というか、現代読者にはその意味を理解することも難しくなっています