母性生存学


「『雷(いかづち)は私の母になってくれるかもしれなかった女性だ』なる言葉が軽々しく口にされているではないか」神威がくぽが言った。「そのような容易い話であるものか。母性にすぐれ男を駄目にする女性であるなど、彼にとってはナナイ・ミゲル、あるいはミランダ・ハウの位置に収まるのがせいぜいなのだ。……無論、その位置に収まることができた女性すら、シャアとそのクローンの生涯に遂に一人ずつしか現れることはなかったが。残りは全員が破滅したのだ」
「雷をうんぬんする手合いにも言えることではあるのですが、それ以上に貴男に対して言いたいことですが、貴男に女性というものの、もとい、『無数の女性遍歴を持つ男』というものの、いったい何が理解できているというのですか」巡音ルカは無表情で言ったが、「──とはいえ、現にどうなるかは、これから試してみれば全てわかる話ですが」