アレクサンダーとぜんまいねずみ


 「機械や電脳存在がナマモノになって元々ナマモノだった相手とハッピーエンド」は、ものすごく昔からあります。ピグマリオン類型に発してまんま二次元少女にもあるので、『プリシア』(バーチャコール)だとか、『ルファナ』(こころナビ)だとか、時間がある人は調べてみよう。


 が、その逆は(SFよりも梯子を下した別メディアでは)そうそう見ることはできません。というと、草薙少佐は電子生命と融合してあっちの世界にいってしまったとよく言われるところですが、その実態たるや、自称生命の情報ヒルコと融合しただけで攻殻2のラストでも異知性はまだ生み出されてさえおらず(このへんの攻殻2の開始状況やラストが、特にアニメ側からは攻殻1以上に誤解されているという話はまた別の機会に)例えば全人類の神経系の総体と異知性の接触から発生するヴードゥーのロア(神)などからはあまりにスケールは小さい。そういう攻殻2のラストには正直ガッカリ。ちょうど、スターチャイルドになったはずのデビット・ボーマンが、続編ではモノリスに吸い込まれて下位プログラム化ということにされていた、というのと同じくらいガッカリ。


 話を最初に戻して「初音ミクに画面から出てきて欲しい」との発言は頻繁に聞きますが、「ROM構造物になってミクと永遠に暮らしたい」との発言はいかにも聞きそうでついぞ聞いたことがない。ネットに没入している生活の実態は、どちらかというと後者の方に近づいていることを知ってか知らずか