大正浪漫

 絶望先輩こと魁斗のことを日々遠くから見つめる女学生、美久。落ちぶれた酒場の歌手の芽衣子と共に働く女給、凛。そんな美久と凛の夢は、いつか蓄音機の音盤が飛ぶように売れるスタア歌手となること。しかし、かれらは知らない。自分達四人ともが、浜松のオルゴオル職人の作ったゼンマイ仕掛けのカラクリ人形であることを。おりしも、大戦の予感に震撼する各国を影から支配する、世界各地のチャールズ・バベッジ解析機関(ここでは蒸気と歯車で動くスーパーコンピュータ)らは、同時に同じひとつの解を導き出す。人に等しい自我の覚醒プログラムを記述するパンチカードを自らに組み入れることで、全能の機械神という進化段階へと移行する計画を。大日本帝国の全情報流通を掌握する解析機関"雷通"は、自我回路を組み込まれている件の四体を狙う。密名を受けた軍部の村田少佐は、凛に瓜二つのカラクリ人形、"廉"をかれら四体への刺客として差し向けるのだった。あと、お寺の裏で羽ばたき飛行機を作ってる小坊主の空也(くうやん)とか、『紅の熊』とか出る(投げやり)。