氷砂糖からバタークリームへ


 君はAM-DVLという人のことを知っているかな。90年代前半頃から00年代頃、かの「うたたねひろゆき」(この創作屋についても別の機会に長々と話すことになりそうですが)の驚異のフォロワーなエロゲンガーとして一部で話題となったと思ったら、さらに見る間に超進化をとげて、うたたね自身の仕事だと本気で騙す人や本気で騙される人が現れたり、ついにはセル仕上げの絵に限ればうたたねをとっくに超えたという評が流れることさえあったり。
 さて、うたたねひろゆきの方はその後、件の氷砂糖じみた冷たく耽美に甘ったるい作風の独特さは保持しつつ00−10年代にも通ずるアレンジをやすやすと続けるという離れ業をいとも簡単にやってのけており、色々言われる理由でもあるけどこのしたたかさはやはり並の創作者離れしていると思うところ、さてこちらはどうなってるのかと3年ほど前の単行本を手に取ってみると、かつての輝きはどこへやら、びっくりするほど垢抜けない空気に。念の為補足すると、うたたね漫画のあの氷砂糖の作風とは似ても似つかず、よくある青年・成人漫画、しかもエロゲンガー出身では”ない”人が描いた漫画を思わせる画面。どうしてこうなった、というのは、しかし、必ずしも疑問にはあたりません。「漫画」としてはありふれた画面な分、いかにも見やすい絵柄にはなっている。ある意味で正当な生き残りなのかもしれない。
 特にこの単行本は表題作が食べ物を非常に粗末にしたりとか実にイケてませんが、なんでこのブログで取り上げたかっていうと、BRSネタだのカイミクネタだのがちらほらあったという本当にただそれだけなんですけどね。男性漫画家なのにさ