区別ポイント


トモセシュンサク:目のハイライトが1重、眉毛の輪郭線が明確、鼻に影がある
憂姫はぐれ:目のハイライトが2重、眉毛の輪郭線が薄い、鼻に影がない


 これは面白い。トモセ・はぐれの絵柄の見分けがつく人は最初から一目で見間違わないので、実際にこういう要素に着目して見分けるという人は滅多にいないはずです。


 例えば、量産ヴァイオリンのストラッド型とデル=ジェズ型とシュタイナー(クロッツ)型は、見慣れた者にはひと目みれば見分けがつきます。
 (これは、かつての名職人、ストラディヴァリやグァルネリ・デル=ジェズが作った「本物と贋作を鑑定」する話とはまるで別問題です。量産型(機械製)Vnの多くは、名匠の作風の複製で作られており、「ストラッド型」とか「シュタイナー型」は、例えば単なる「ストラト」とか「テレキャスター」のようなタイプでしかない、という話題)
 これらに関しても、「ストラッド:クビレの上半分と下半分の差が大きく、厚みの張り出しが大きい」「デル=ジェズ:全体的に何となく角ばっていてf孔が大きく張り出しが小さく渦巻が非常に大味」とか、差となる要素を説明しようと思えばできないこともないのですが、そんなことをわざわざ見てから区別している人など誰もいません(見慣れていても、これらの要素を知らない人もいます)。普通は一目見ただけでまず見間違いません。


 けれど、見慣れていない人に対して、そんなことを言ってもわかりません。外人の顔が全部同じに見えるように、見慣れなければ、最初はヴァイオリンの形状などどれも同じに見え、違いがあるようには見えません。
 そういう見慣れていない人達に、「違いがある」ことを「証明」する必要が生じたときには、これらの区別ポイントを挙げる以外に方法がないのです。
 つまり、区別ポイントは、「業界で実際に見分ける人」のために存在するのではなく、滅多にその業界に関わらない人が、滅多に使わない判別を行うために存在するわけです。