嗜好攻防法


VOCALOIDの『調教』という言葉をやたら擁護している面々は、『その言葉に過剰に違和感で反応する方こそがエロゲ脳だ』とかいうけれど。実は、イギリスにも古くから、これとちょうど似たような議論があるのよ」
 PRIMAが、セピア色の写真の何枚かを見せながら言った。
ルイス・キャロルは、少女の写真だけ集めていたのではなくって、彼の遺品では少女の写真だけが性的傾向が無いとして廃棄されずに残っている、って説があるのよ。つまり、『それらの少女写真を少女愛扱いする方こそが、それらに性的傾向を感じるような少女愛者なのだ』とか言い出すって反論法があるわけ。ここでは、キャロル本人がどっちだったかは置いておくけれども――つまり、そもそもの原因がある側が、それを相手側になすりつけて被害者面する論法のうさんくささは、文字通り古今東西へだてない、というわけね」
「……そんなんイギリスの当たり前の話題みたいに流布すんなこのイタ公女」SONIKAが写真から目をそむけてうめいた。