あれはどこの子


 近所に住んでいた冷徹な優等生、メアリイ姉とはとにかくよくアニメの話をしたのですが、ひたすら不満ばかりで、ついぞ好評価を聞いたためしがない。実はアニメが好きで見ていたのに大人ぶったりひねて批判ばかりしていたツレンデヴァーゲンだったのか、あるいは、堅物の父母から「子供は子供向けアニメを見るもの」といって、ローラ妹と一緒に無理矢理に観たくもないアニメの映ったテレビの前に座らされていたのか。今の感覚では前者に萌えたいところなんでしょうが、小学生の頃から夜の9時から始まる江戸時代の未亡人が主人公の実写メロドラマとかを見たがって母親に叱られた話なども聞いたので、おそらくは単に後者だったのでしょう。成熟しすぎて子供だましが本当に嫌いだったのです。
 そんなメアリイ姉が、ことあるごとに激しい不満を叩きつけてくる話題があったんですが、それが「ハクション大魔王に出て来るアクビ娘がものすごくかわいくない」というものでした。
 んで今ふとそれを思い出して調べてみたのですが、キャラデザの段階ではこれは見れば見るほどに実に秀逸なデザインです。とはいえその当時に自分が実際に目にした作画や、今調べてわかるその当時のアニメ業界の事情を思い出してみるに、技術そのものを含めた作画の限界があり、当時の画面上のアクビ娘の姿がメアリイ姉にそれほどの不満を抱かせるものだったことは想像に難くありません。
 2Dでも3Dでも今の技術でこれを動かせば、おそらくは当時のメアリイ姉以上に眼が肥えてませくりかえった現代の子供達に、このデザインの秀逸さが伝達するかどうか